プロローグ2

 

金の亡者と王女様:with Pray

タッタッタッタッタッ
廊下を走る音が聞こえる。この音は図書館の方からだろう。
アニスはダアトの教会の入り口に立っていた。
足音が近づいてくる。おそらく自分のもとに向かっているのだろう。
あの人に似ている彼が。

「アニスーー!」
ほらきた。男の子なのに女みたいな彼が。4年前からなんども聞いてきた声が。
「どうしたの、フローリアン??」
ニコッと振り向く。やっぱりひるむ。
あの人に似ているだけで、声が同じなだけで。
「あのね、図書館で面白い本を見つけたんだ!」
フローリアンは分厚い本をアニスに渡した。
タイトルは消えかかっていて読むのに苦労する。

-あな・・・が、・・・るだ・・・で私は・・・われ・・・-

頭の文章は消えかかっていてもう読めるものではない。
「フローリアン、これ・・・」
「いいから中読んで!」
言葉を遮られた。その眩しい笑顔と共に。
中に何が記されているのだろう?
そう思いながら1ページ捲ってみた。
でも思ったとおり。ほとんど消えている。

「私・・・もう・・・・・・一・・・にい・・・。
・・・は戻・・・・・・・・・から。
あなた・・・そ・・・を、離・・・た・・・・・・・・・。
た・・・あ・・・・・・を、守・・・た・・・。
月・・・・・・・・・る夜・・・こ・・・。」

見た感じ物語のようだった。でも、何なのか全くわからない。
「これの何が面白いの??」
ニッコリ笑って聞いた。自分には見当もつかない。
「あのね、はっきり見える文字だけで読んでみて」
確かに、はっきり見える文字がいくつかある。
消えているのがほとんどなのに、はっきりと読める。

「私、は、あなた、を、守、る?」

声に出して読んでみた。すると彼はにっこり笑った。
「そう!はっきり見えるのだけ読んでみたらこうなったんだ!」
とても嬉しそうに言った。確かにすこし驚く。
ここまではっきりとした文になっているのだ。何かあったのだろう。
「アニス、もう一回言ってみて」
何故か彼は繰り返せと言う。
「私は、あなたを守る」
それを聞くと彼はまた笑った。満面の笑みで。
「ありがと!」
ああ、つまり守るって言わせたかったのか。
大丈夫。ちゃんと守るから。
同じ過ちは繰り返さないから。

そうこうしていたら目の前の扉が開いた。
このダアトで最も大きな門だ。まあ、教会なのだから当然なのだが。

「あら、アニス。ちょうど良いところにいらっしゃいましたわ」

入ってきたのはキムラスカの王女。
金色の髪を持ち、最も国を愛する弓の名手だ。

「どうしたの、ナタリア!??」
意外な来訪にアニスは少し戸惑った。
彼女がここを訪れることは何回かあったが年に1、2回程度だった。
それが急に。連絡一つなしに来たのだ。
「あ、もしかしてダアトにお金寄付してくれるの!?」
相変わらずの金好き。
久しぶりだというのにこの反応に悲しむべきか喜ぶべきか。
「残念ながら違いますわ」
つかつかと二人のほうに歩いてくる。
「あなたを呼びに参りましたの」
「え!?」
いきなりの言葉にアニスは少し飛び退いた。
「何で急にそんなこと??」
心当たりはなく、首を傾けた。
「明後日は何の日かご存知でしょう?」
いつもの調子で聞いてくる。
相変わらずの王女口調。
「明後日って・・・あー・・・あの日か・・・」
以前からみんなで決めていた日。
あの日から2年も経つというのにまだ未練があるらしい。
それはアニスにしろナタリアにしろ同じだった。
「さあ、外でガイが待ってますわ。早く支度をしてくださませ」
「そんな急にいわれても・・・」
アニスは急な話に戸惑っっている。
そこにナタリアは追い討ちをかける。
「まあ!あの人とダアトとどっちが大切ですの??」
決めかねる話だ。
むしろアニスからすればダアトというよりフローリアンだろう。
どちらにせよ決めることはできないが。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
走って私室のほうに向かって走った。
が、後ろから声がした。

「アニス。心配しないでね。僕は全然大丈夫だから」

フローリアンの声だった。
この2年で彼も強くなった。
戦闘なんて全くできないが、心の面。精神的にかなり強くなった。
そのためか、アニスには少し寂しく思えた。

 

「はい。準備完了ー!」
「では行きますわよ」
二人はダアトの門を後にして歩いていった。
「アニス。行ってらっしゃい!」
後ろからフローリアンの声がした。
とっさに振り向くと彼が手を振っている。
もちろん、アニスも振り返した。

「行ってきます!!」

 

ここからあの場所まで約1日。
彼はこの2年で強くなった。
そしてもう一人の彼はどうなのか。

会えるのかもわからない。
生きているのかもわからない。

でも生きていると信じたい。
だって彼は約束してくれたのだから。

自分たちに。この世界に。
だから彼を信じて待ち続けよう。

あとがき

来ました連載第2弾!!
今回はアニフロなネタです。
ちなみにアニフロナタではありません!!
ナタリアは後で出番があります!!・・・多分(笑)

始めは何も考えずパーっと書いてたら変になった(笑)
ちょっといい話書きたかったけど、普通ありえないよねー(笑)
てか見つけたフローリアンすげぇよ!!(笑)

今回のイメージは銀○の初代OP。
聞きながら書いてたからタイトルおかしい(笑)